
- 2022年10月3日
【加工技術】カセット金型のご紹介
今回は当サイトのイチオシ加工技術である「カセット金型」についてご紹介いたします。
カセット金型とは、射出成形(インジェクション成形)用の金型の一種です。
「試作型」「簡易金型」「仮型」という名前で呼ばれることもあります。◆特徴
カセット金型は、金型をモールドベース(ベース部分)と入れ子(コア部分)に分割した構造です。
画像の外側の部品がモールドベース、内側の部品が入れ子です。
モールドベースを共用化し、入れ子を差し替えて使用することが最大の特徴です。
共用化によりモールドベースを部品ごとに製作する必要がなくなるので、コスト・納期に大きなメリットを出せます。
カセット金型では入れ子部分のみを新作するため、単純に通常の金型に比べて材料費・加工費が安くなります。
また、通常の金型では金型製作に1ヶ月以上かかってしまうのが通例ですが、カセット金型では最短2~3週間での製品トライが可能です。◆用途
カセット金型が使用される主な用途は製品開発における試作です。
当サイトでは試作に向いている工法として切削や真空注型もご紹介しておりますが、カセット金型には他の工法にはない「強み」があります。
それは、実際に製品化された際と同じ材料が使えることです。
試作などで多用される切削加工では、使える材料が板材・ブロック材が一般的に販売されている材料に限られてしまい、カセット金型で使える材料に比べて種類がかなり限られてしまいます。
また、真空注型で使える材料はウレタン・エポキシ樹脂に限定されるため、物性的には切削の場合よりも更にかけ離れてしまいます。
どちらも形状や嵌合の確認をする上では問題ありませんが、強度などの物性の試験や、外観部品・導光部品の試作を行う際にはあまり向いていな工法と言えるでしょう。
逆にこのような場面で力を発揮するのがカセット金型です。
イニシャル費用として金型代が掛かってしまいますが、最終製品と全く同じ材料で部品を作れるのは大きな強みです。
さらに、カセットとは言え金型なので、一度型を作ってしまうと安価に追加製作が可能です。
◆まとめ
カセット金型とは安価な分割式の金型です。
本金型に比べて成形サイクルや上限ショット数は劣りますが、イニシャルコスト・納期面でメリットがあります。
また、切削や注型などの試作工法と比べると材料選択の幅が広く、最終製品と同じ材料を使うことができるのも強みです。