RTVシリコーンゴム(室温硬化シリコーンゴム)とは?

ニッシリはシリコーン一筋「70年」
シリコーンゴムと樹脂の試作~大量生産をサポートします。

RTVシリコーンゴムはポリジメチルシロキサンを主体とするシリコーン樹脂(Si-Oを主鎖に持つ高分子)の液状ゴムで、室温で加硫(硬化)するタイプのシリコーンゴムです。シリコーンゴムの主鎖であるシロキサン結合(Si–O)は結合エネルギーが大きく安定なため、熱や紫外線に強い高分子骨格を形成します。RTV(Room Temperature Vulcanizingの略)と呼ばれる通り、加熱しなくても常温で硬化できるのが特長です。

主な種類(1成分型・2成分型)とそれぞれの特徴

一液型RTVは「使いやすさ重視」で現場施工や小規模シールに適し、二液型RTVは「性能調整や大量使用重視」で工業用途や複製用型取りなどに適しています。それぞれの特性を理解し、目的に応じて使い分けることが重要です。

1成分型RTV(RTV-1)

あらかじめ必要な成分が全て1つの容器(チューブやカートリッジ)に入った製品です。使う時にそのまま被着体に押し出せば、空気中の湿気と反応して室温で硬化し、ゴム状の弾性体になります。混合や脱泡の手間が不要で作業性に優れるのが最大の利点です。

硬化が始まると徐々に内部まで進行しますが、厚みがあると深部への湿気供給が追いつかず完全硬化に時間がかかる場合があります。一液型はほとんどが縮合反応型で、容器から出すと湿気で反応が始まります。

接着性に優れ、ほとんどの材質によく付着するよう設計されており、接着剤・シール剤・コーティング剤として幅広く使われます。ただし密閉容器内で保管する必要があり、開封後はできるだけ早く使い切らないと容器内でも硬化が進んでしまいます。

2成分型RTV(RTV-2)

主剤(ベースポリマー)と硬化剤(触媒や架橋剤)の2つの成分を使用直前に混合して硬化させるタイプです。混合しなければ硬化が始まらないため保存安定性が良く、長期保存が可能なのが利点です。使用時には所定の割合で主剤と硬化剤を混ぜ、必要に応じて脱泡(真空引き)を行います。

混合比や硬化剤の種類を変えることで硬化速度や作業可能時間(ポットライフ)を調整できる柔軟性があります。二液型は厚みのある注型品でも均一に硬化し、内部までムラなく硬化反応が進行するという特徴があります。

硬化方式は製品により縮合型と付加型の両方があります(例: 型取り用シリコーンはスズ触媒の縮合型が多く、電子用ポッティング材や医療用は白金触媒の付加型が多い)。一般に未硬化時に他素材への濡れ拡がりが良く流動性に富む反面硬化後は接着性を持たない(=離型しやすい)配合のものが多いです。そのため、異種素材に対しては離型剤なしでも型から剥がしやすい特性を持ち、型取り用シリコーンゴムとして適しています。一方で、接着用途に用いる場合はプライマーを併用するか、接着性付与タイプの二液RTVを選ぶ必要があります。

特性(耐熱性、耐候性、電気絶縁性、接着性、柔軟性など)

シリコーンゴム材料は、一般的な有機ゴムにはない多くの優れた特性を持っています。RTVシリコーンゴムに共通する主な特性を挙げます。

耐熱性

シリコーンゴムは高温に強く、約150℃前後の高温でも長期間物性を維持できます(一部グレードでは200~250℃まで耐えるものもあります)。有機系ゴムと比べ熱による劣化が少なく、熱硬化しにくいため、エンジン周りや加熱器具周辺のシール材にも使われます。また低温側でも性能を維持し、後述の耐寒性と合わせて広い温度範囲(例:-60℃~+150℃程度)で使用可能です。

耐寒性

シリコーンゴムは低温下でもゴム弾性を保つ点で優れます。ガラス転移点が低いため、-50~-60℃程度の極寒環境でも硬化したシリコーンは硬化やひび割れを起こさず柔軟性を維持します。このため寒冷地や高空(航空機)で使用される部材にも適しています。

耐候性

紫外線やオゾン、風雨による劣化に極めて強く、屋外に長期間さらされても物性変化がほとんどありません。強い日射や屋外環境下でも硬化シリコーンはひび割れ・硬化・変色しにくいため、建築用シーリング材として優秀です。オゾンによるゴム劣化(クラック)もシリコーンはほとんど受けません。

電気絶縁性

シリコーンは優れた電気的絶縁体です。その誘電特性・絶縁抵抗は有機ゴムと同等かそれ以上で、しかも幅広い温度・周波数領域で安定しています。特に湿気や水中に曝されても絶縁性能の低下が少ないため、屋外高圧線の絶縁カバーや電子回路のポッティング材に適しています。

接着性

シリコーンゴム自体は化学的に不活性で表面エネルギーが低いため、本来は固着しにくい材料です。しかしRTV製品では一液型を中心に接着性を付与したものが多く、市販のRTVシーラント/接着剤はガラス、金属、プラスチックなど多くの素材に対して良好に接着します。例えば酢酸硬化型のRTVは硬化の過程で基材表面にケイ酸塩を形成し密着することで強固に接着します。

一方、二液型RTVは一般に接着性がなく、型取り後に容易に剥離できる特性があります。接着用途で二液型を使う場合はシリコーンプライマー処理を施すか、接着性付与タイプを選ぶ必要があります。接着性は製品の硬化タイプ(酸性/中性)によっても異なり、例えば中性硬化型(アルコール系)のRTVは金属腐食がなく接着適性が高いです。

柔軟性・弾性

RTVシリコーンが硬化して得られるゴムは非常に柔軟で弾力性があります。硬化物の硬度は製品により様々ですが、おおよそショアA硬度で15~60程度まで調整可能で、非常に軟らかいゲル状から中程度のゴム状まで選べます。典型的なRTVは15~40程度の硬度(消しゴム~輪ゴム程度)で、振動や衝撃をゴム弾性で吸収する性質があります。

また引張りや曲げに対しても常温では大きな伸びを示し、破断しにくいです(※ただしシリコーンゴムは引裂強度自体はさほど高くなく、尖ったもので切り裂かれると裂けが広がりやすいという弱点もあります)。

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