ニッシリはシリコーン一筋「70年」
シリコーンゴムと樹脂の試作~中量生産をサポートします。

シリコーンゴムのLIM成形

LIM成形(Liquid Injection Molding / 液状インジェクションモールド成形とも)は、2種類の液体原料(主剤と硬化剤)を金型内に射出し、金型内で化学反応(加硫)によって硬化させて製品を成形する加工法です​。液状シリコーンゴム(LSR / Liquid Silicone Rubber)が主な材料で、これはプラチナ触媒を用いた高純度の熱硬化性シリコーン樹脂です​。

LIM成形では、材料を金型内で加熱・架橋反応させて硬化させる点が特徴であり、従来の熱可塑性樹脂の射出成形(加熱で溶かして射出し、冷やして固める方式)とは逆の原理になります​。このプロセスにより、耐久性が高く弾力性のある部品を大量生産することができます。

特徴

量産における複雑形状に対応

原料が液体で流動性が高いため、極めて複雑かつ精密な形状でも成形可能です​。薄肉部や微細部を持つ部品でも問題なく成形でき、デザイン上の自由度が大きい点は大きな利点です​。

材料自体の性能

LSR製品は耐熱・耐寒・耐候・電気絶縁・生体適合など材料自体の性能が高いため、完成品の信頼性も高くなります。例えば自動車エンジン近傍の部品でも長期にわたり劣化せず使用できます​。

材料ロスの少なさ

コールドランナー方式等を用いることで、射出成形に付き物だった不要なランナーやバリを発生させずに成形できます。その結果、原料ロスが極めて少なく、シリコーン原料を効率よく製品化できます。

製作実績

Oリング

LIM成形品は、医療から日用品まで幅広い分野で利用されており、要求特性に応じて様々な形で活用されています。特に複雑形状のシールや精密ゴム部品を大量生産したい場合に、LIM成形は不可欠な技術となっています。

ご活用いただいているケース

高い寸法精度を求める大量生産品

バリの少ないバリレス成形ができます。また、原料の自動計量・射出から離型・取り出しまでを一貫自動化しやすく、量産でも再現性高い生産が行えます。

複雑形状の成形

液状のため、従来ゴムでは難しかった微細形状や薄肉・アンダーカット形状を金型設計次第で量産可能です。

他素材とのインサート成形や複合化

LIM成形はプラスチックや金属部品と一体化すること(インサート成形)が得意です。「家電製品のハウジングとシリコーンガスケットの一体化」などが可能になります。

主な用途分野と製品例

医療・ヘルスケア分野

生体適合性や耐熱滅菌性を活かし、医療機器やヘルスケア製品の加工方法として採用されています。例えば人工呼吸器や在宅酸素療法で使うマスク、点滴や輸液ポンプのシリコーンチューブ・シール部品、静脈カテーテルの留置具、注射器のゴム栓、ウェアラブル医療デバイスの装着部品などに利用されています​。

電機分野

優れた電気的絶縁性と耐環境性から、様々な電子部品に用いられます。
高圧機器の絶縁ブッシングやケーブルの絶縁ジョイントで、従来のセラミックやEPDM部品を置き換えるケースがあります。またコネクタのシリコーンゴム製シール(防水パッキン)や、多ピンコネクタ内部のゴムブーツはLIM成形で大量生産されています​。

電子部品分野

電子機器のキーシート(シリコーンキーパッド)も代表例で、柔軟な押しボタンやリモコンのキーに用いられています。LED照明用の光学レンズ(光透過性シリコーン)など、透明性を活かした電子部品の成形にも取り入れられています。

他の加工方法との比較と使い分け

「射出成形」との比較

LIM成形と射出成形は、材料状態や成形原理などで大きく異なります。

LIM成形は、液状の2液性シリコーンゴムを金型に注入し、化学反応で硬化させる方式です。成形サイクルは反応硬化時間が主体で、金型温度は150~200℃付近に設定します。高温耐性や生体適合性を活かした製品に適し、内部応力が少ない反面、バリ取りなど後加工が難しい点があります。

射出成形はペレット状熱可塑性樹脂を加熱・溶融し、高圧で高速充填後、冷却(20~80℃付近)で固化させます。量産性とコストパフォーマンスに優れ、自動車部品や家電製品など幅広く利用されます。

豆知識

「LSR」とは?

LSR(Liquid Silicone Rubber)は、液状シリコーンゴムのことを指し、大きく分けて一液型と二液型の2種類があります。

一液型は空気中の水分と化学反応を起こして自然に硬化するタイプで、カートリッジから塗布するだけで作業が完了するため取り扱いが容易です。接着剤・シール材・防水コーティングなど、現場施工でスピーディーに固着させたい用途に適しています。

二液型は主剤と硬化剤を所定比率で混合してから硬化させる方式で、流動性が高く複雑な空隙を充填できるため、電子部品のポッティングやモールド封止に多用されます。混合直後から硬化が始まるので、作業時間を考慮したプロセス設計が必要です。

加硫(かりゅう)反応とは?

ゴム分子同士が化学的につながり(三次元網目構造を形成し)ゴム弾性を得ること。LIM成形では、2液を混合して金型に入れ、加熱することで短時間で加硫が進み、弾性を持った製品になります。

プラチナ触媒とは?

シリコーンの加硫に使われる白金系の触媒です。反応が速く、副産物が少ないため、医療や食品用途でも使用される高純度の硬化が可能です。

LIM成形は熱可塑性ではなく「熱硬化性」

LIM成形で使われるLSR(液状シリコーンゴム)は熱硬化性のゴム材料です。一般的なプラスチック射出成形(熱可塑性)は冷やすことで固めますが、それとは異なり、金型を加熱して硬化させるのがポイントです。

バリレス(フラッシュレス)成形

LIM成形は2液混合量を正確に制御し、金型精度を高めることで、成形品の周囲にバリがほとんど出ないように成形することができます。

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