
アルミ金型|樹脂・シリコーンゴムの試作から中量産まで

アルミ金型(アルミニウム製の金型)は、鋼製の本金型に比べて安く、早く用意できる金型です。製品開発段階のプロトタイプ作成や、市場投入前のパイロット生産、数千個規模までの中量生産に広く用いられています。
ニッシリでは、このアルミ金型を樹脂とシリコーンゴムの両方に活用し、試作から中量生産までを低コスト・短納期でご提供しています。このページでは、まずアルミ金型が安く早い理由を整理したうえで、樹脂の場合とシリコーンゴムの場合に分けてご説明します。
金型費
鋼型の約1/3〜1/2
製作納期
数日〜数週間
(鋼型比 40〜60%短縮)
対応数量
試作1個〜2千個程度
アルミ金型が「安い・早い」3つの理由
1. 金型費は鋼型の約1/3〜1/2
アルミは素材費・加工費が安く、本金型である鋼金型に比べ、アルミ金型は約1/3〜1/2程度のコストで製作できるケースもあります。そのため、少ない製造数量でも金型費の回収が容易で、製品1個あたりのコストは、短期的な生産であればアルミ金型のほうが低く抑えられる傾向があります。
2. 製作納期は鋼型より40〜60%短い
アルミは切削性が高く加工が容易なため、CNCによる金型加工の時間を短縮できます。結果として注文から完成まで数日〜数週間程度と、鋼製金型(通常数週間〜数か月)のリードタイムより速く納品できます。アルミ金型は鋼製(P20鋼など)に比べ、40〜60%程度の納期短縮が可能です。
3. 熱伝導性が高く、成形サイクルも短い
アルミニウムは鋼より熱拡散性・放熱性が高いため、成形時の加熱・冷却を効率よく行えます。目安として、アルミ金型はP20鋼に比べ冷却速度が4〜5倍速いとされ、型開閉から射出・冷却に至るサイクルタイムが短縮されます。あわせて、熱の均一性が高いことで、ヒケ・変形・バリなどの不良発生が抑えられるケースもあります。

樹脂(熱可塑性樹脂)のアルミ金型
熱可塑性樹脂の射出成形では、アルミ金型が試作・小ロットで一般的に利用されています。
対応できる樹脂と数量の目安
ABS・ポリカーボネート(PC)・ポリプロピレン(PP)などの汎用樹脂であれば、2,000個程度の成形までアルミ合金を用いた金型で十分に対応できます。2〜4個取りの多キャビティ構成にすれば、1ショットあたりの成形個数が増えるため、射出サイクルあたりの歩留まり向上と、対応数量の上積みが見込めます。
費用と納期の目安
金型費は鋼型の約1/3〜1/2、製作納期は数日〜数週間。少ない数量でも金型費を回収しやすく、短期的な生産であれば製品1個あたりのコストも鋼型より低く抑えられる傾向があります。
こんなときに使われています
- 機能試作:実物大の部品で動作検証や組付け評価を繰り返す開発初期段階に。形状や合わせ込みの精度確認、機構試験に適しています。
- 小ロット・少量生産:〜数千個程度の中量生産に。金型費が鋼型の半額程度に抑えられるため、小ロットでも型代を回収しやすくなります。
- 量産前のパイロット生産:量産用の鋼金型が完成するまでのつなぎとして、中ロット(数千〜数万ショット)をアルミ金型で賄えます。市場投入のタイミングを前倒しできます。
注意しておきたい点
アルミは鋼より軟らかく摩耗しやすいため、薄肉・微細形状など複雑な形状には制約があります。型寿命の目安は約2,000ショット。計画数量がこれを超える場合は、表面処理やバックアップ型の準備、鋼型への切り替えをあわせてご検討ください。
関連ページ:樹脂の試作/カセット金型(簡易金型)
シリコーンゴム(熱硬化性ゴム)のアルミ金型
シリコーンゴム成形では、アルミ金型の高い熱伝導性により均一な加熱・冷却が可能になり、硬化ムラを抑えながら短いサイクルで成形できます。
コンプレッション成形・LIM成形での活用
ニッシリでは、固形シリコーンを圧縮成形するコンプレッション成形と、液状シリコーンを射出成形するLIM成形のいずれにもアルミ金型を使用しています。試作の段階で形状を確認しながら、そのまま小〜中ロットの生産へ移行できる点が特長です。
費用と納期の目安
鋼金型に比べて数分の一のコスト、製作納期は数日〜数週間。型の準備に時間とお金をかけずに済むため、製品開発の初期検証で「まず実物をつくって評価する」という進め方がしやすくなります。
こんなときに使われています
- 試作・初期検証:実際の成形品で硬度や形状、組付けを確認したいとき。
- 小〜中ロット生産:量産用の鋼型を起こすほどの数量ではない案件に。
- 量産前の生産評価:本格量産の前に、成形条件や品質のばらつきを確かめたいとき。
注意しておきたい点
シリコーンゴムは流動性が高くバリが出やすいため、パーティングライン(型が開く境界線)まわりの設計と定期的なメンテナンスが重要になります。アルミは摩耗しやすい素材でもあるため、繰り返し生産では型の状態確認をあわせて行います。
樹脂とシリコーンゴム、材料別の早見表
どちらの材料でも、アルミ金型を使うメリットは「金型費が安いこと」と「納期が早いこと」で共通しています。違いが出るのは、成形方法と数量の考え方です。
| 樹脂(熱可塑性樹脂) | シリコーンゴム(熱硬化性) | |
| 主な成形方法 | 射出成形 | コンプレッション成形/LIM成形 |
| 代表的な材料 | ABS、ポリカーボネート(PC)、ポリプロピレン(PP)など | 固形シリコーンゴム、液状シリコーンゴム(LIMS) |
| 数量の目安 | 〜2,000個程度 | 試作〜小・中ロット |
| 金型費の目安 | 鋼型の約1/3〜1/2 | 鋼型の数分の一 |
| 製作納期の目安 | 数日〜数週間 | 数日〜数週間 |
| アルミ金型が効く理由 | 冷却が速く成形サイクルを短縮できる | 加熱・冷却が均一で硬化ムラを抑えられる |
「自社の製品はどちらに当てはまるのか」「この数量ならアルミ金型と鋼型のどちらが得か」といったご相談も承っています。図面やイメージ図をお持ちでしたら、お問い合わせフォームよりお気軽にお送りください。
アルミ金型とスチール金型の比較と使い分け
数量が数万個を超えてくると、耐久性に優れる鋼金型のほうが有利になります。アルミ金型は「試作から中量産まで」を安く早く回すための金型、と位置づけると選びやすくなります。
| アルミ金型 | スチール金型(鋼金型) | |
| 初期費用 | 低い(製作費が安価) | 高い(製作費が高額) |
| 製作リードタイム | 短い(納期が早い)※数日〜数週間 | 長い(納期に時間)※通常数週〜数か月 |
| 耐久性(寿命) | 低い(軟らかく摩耗しやすい)耐用ショット数 約2,000回 | 非常に高い(硬度・剛性大)耐用ショット数 数十〜数百万回 |
| 量産適性 | 小ロット向き(〜数万個)※試作・橋渡し生産に最適 | 大量生産向き(数万個〜)※高数量ほど有利 |
| 熱伝導性 | 高い(冷却効率良)※冷却時間短縮 | 普通〜低い(材質に依存)※冷却に時間 |
| 成形サイクル | 短い(加熱冷却が速い)※総じて速いサイクル | 長め(冷却時間を要す)※高冷却対策で短縮可 |
| 設計複雑さ | 制約あり(薄肉・微細形状は不向き)※複雑形状では変形・損耗リスク | 高い自由度(薄肉・細部も可)※高硬度で形状保持性優秀 |
豆知識
アルミニウム合金(7075/6061/QC-10 など)
アルミ金型に使われる代表的な合金です。7075は高強度・高硬度で試作〜中量産向き、6061は汎用・低コスト、QC-10は射出成形用に開発された高強度・高熱伝導プレートで厚物でも硬度が落ちにくい、など、アルミ金型の「軽さ・加工性・放熱性」はこれら合金特有の性質に由来します。
キャビティとコア
キャビティが製品外形、コアが内部空間を形つくります。アルミ金型でもレイアウトは鋼と同じで、両者の噛み合わせ精度が寸法精度を決めます。
パーティングライン(PL)
金型が開く境界線のことです。ここに段差やずれが生じるとバリが出ます。アルミは鋼より軟らかく摩耗しやすいため、PLまわりの補強設計と定期メンテが重要になります。
アルミ金型のショット数(型寿命)
成形回数の指標です。アルミ金型は約3,000〜10,000ショットが目安で、鋼型は数十万ショット以上。計画数量を超えると摩耗でバリ・寸法不良が増えるため、表面処理やバックアップ型の準備がポイントになります。
表面処理・コーティング技術
アルミ金型の欠点である低硬度や離型性の問題に対処するため、様々な表面処理・コーティング技術が活用されています。表層にセラミックに近い硬度の被膜を形成する硬質アルマイト処理、アルミ金型に最も広く用いられる化学的にニッケル合金皮膜を析出させる無電解ニッケルめっき、などがあります。
ニッシリはシリコーン一筋「70年」
シリコーンゴムと樹脂の試作〜量産をサポートします。
