- 2025年9月20日
- 更新日:2025年9月29日
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材料選定
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サステナブル素材について。選定方法を解説。

環境規制の強化や消費者意識の変化を背景に、「環境配慮型素材」の需要が拡大しています。単に環境にやさしいだけでなく、製造コストや性能面でも従来素材に匹敵するものが登場し始めています。
一方で、新素材には加工上の課題も多く、導入には十分な検討が必要です。本記事では、代表的な環境配慮型素材の特徴と加工適性を比較します。
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代表的な素材の性能について
生分解性プラスチック
生分解性プラスチックは、使用後に土壌や水中で微生物により分解される点が大きな特徴です。包装材や農業用フィルムなどで利用が広がっています。
しかし加工面では熱に弱いため、射出成形では温度管理が非常にシビアです。また、吸湿しやすい性質もあり、乾燥工程を適切に行わないと物性が低下します。現場では「通常のプラスチックと同じ感覚では扱えない」ことを理解する必要があります。
バイオマスプラスチック
バイオマスプラスチックはサトウキビやトウモロコシなどの植物由来原料を利用しており、石油依存を減らせる点が特徴です。従来のプラスチックに近い加工性を持ち、既存の成形機で利用しやすいため、導入ハードルは低いといえます。
代表例としてポリ乳酸(PLA)があり、文具や食品容器に採用されています。
ただし耐熱性や耐久性には課題が残るため、長期使用が前提の製品には工夫が必要です。
グリーンコンポジット
天然繊維と樹脂を複合化したグリーンコンポジットは、軽量かつ再生可能な素材として注目されています。自動車内装や家具などで利用され始めています。
ただし水分を吸いやすく、耐久性や寸法安定性に課題があります。そのため加工条件の最適化や表面処理などの工夫が不可欠です。今後は樹脂改質技術の進展により、用途の拡大が期待されます。
今後の展望
環境配慮型素材はまだ発展途上ですが、世界的な規制や市場のニーズを背景に、研究開発が急速に進んでいます。今後は「環境性」と「加工性」を両立する素材が増え、従来品に代わる標準素材として普及していく可能性があります。
導入を検討する際は、性能評価だけでなくLCA(ライフサイクルアセスメント)を用いた環境影響の定量化を進めるとよいでしょう。
まとめ
環境配慮型素材は万能ではありませんが、適切な設計と加工の工夫を組み合わせれば十分に実用的な製品づくりが可能です。素材の特性を理解し、環境負荷低減と品質確保のバランスを取ることが、これからの製造業に求められる姿勢です。
サステナブル素材の選定や製品試作・量産はニッシリへご相談ください。
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