再生プラスチック(リサイクルプラスチック)とは?
再生プラスチック(リサイクルプラスチック)は、使用済み製品や製造工程で発生した端材・不良品などを「再び原材料として利用できる状態」にしたプラスチックを指します。
しかし、どの範囲を再生に含めるか(プレコンシューマ/ポストコンシューマ、同一工程内リユースの扱い、熱回収をリサイクルに含めるか等)は、制度・統計・用途(特に食品接触)で差が出ます。

再生プラスチック(リサイクルプラスチック)の分類体系
再生プラスチックの分類は、以下の分類を行うと工程設計と品質議論が整理しやすくなります。
(A) ポリマー骨格を維持したまま再利用する系(マテリアル/メカニカル、溶解系)
(B) ポリマーを分解して原料に戻す系(解重合・油化・ガス化等のケミカル)
(C) エネルギーとして回収する系(サーマル/熱回収)
食品接触の指針でも「物理的再生処理」「化学的再生処理」が明確に区別されています。
手法別の比較表(特徴・向き不向き)
| 区分 | 代表プロセス | 得られるもの | 主な適用樹脂(例) | 汚れ・混合への耐性 | 品質・用途の傾向 | 主な強み / 主な限界 |
| マテリアル/メカニカル(物理的再生) | 選別→洗浄→粉砕→溶融→ろ過→ペレット化 | 再生樹脂(ペレット) | PET, PE, PP, PS など(単一系が有利) | 低〜中(単一材・低汚染が有利) | ダウンリサイクルになりやすいが、PET等は水平化が進む | 強み:既存設備でスケールしやすい/限界:混合・臭気・物性ばらつき |
| 溶解(溶媒系溶解リサイクル) | 選択溶解→不溶物除去→沈殿/再析出→乾燥 | 精製ポリマー(樹脂) | PP, PS, PVC等で技術開発例(設計に依存) | 中(溶解選択性で分離可能) | ポリマーは維持しやすく、高品位化が狙える | 強み:添加剤・汚れ分離のポテンシャル/限界:溶媒回収・安全・コスト |
| 解重合(モノマー化) | 加熱・反応でモノマー等に分解→蒸留・結晶化等で精製→再重合 | モノマー/中間体→バージン同等樹脂 | PET/ポリエステルが中心 | 中(色素・不純物除去に利点) | 高品位(バージン同等)を狙いやすい | 強み:水平リサイクル適性/限界:反応・精製コスト、回収インフラ依存 |
| 油化(熱分解・超臨界等) | 熱分解等→生成油→既存精製/クラッカー原料化 | リサイクル生成油→石化原料 | 混合プラを含む | 中〜高(混合・汚れ側に寄せられる) | 樹脂に戻せる/戻さないは下流の処理次第 | 強み:混合系の受け皿/限界:LCA・認証・マスバランス等が論点 |
| ガス化(燃料/化学原料) | ガス化→合成ガス→燃料利用/化学原料化 | ガス/化学原料 | 混合プラ | 高 | 利用先次第 | 強み:混合・汚れ耐性/限界:設備コスト、効率、用途の制約 |
| 高炉・コークス炉原料(原料代替) | 還元材・原料として投入 | 原料/還元材代替 | 処理体系に依存 | 中 | 素材循環というより原料代替に近い位置づけ | 強み:既存産業設備の活用/限界:循環性・評価の扱いが論点 |
| エネルギー回収(サーマル/熱回収) | RPF・セメント原燃料、発電焼却、熱利用焼却 など | 電力・熱 | 混合プラを含む | 高 | 材料循環ではない | 強み:混合・汚れの受け皿/限界:循環性(CO₂・資源)や国際比較で議論 |
主要用途
用途別に求める品質が異なります。
• 包装(ボトル、トレー、フィルム等)
需要規模が大きい一方、食品接触や外観要求が厳しい。PETボトルは国内で高い回収・再資源化が成立している領域。
• 建材(配管、床材、断熱材等)
長寿命で回収が難しい場合があり、用途側の規格・耐久性要件が支配的。
• 自動車・電機
難燃・耐久・外観・臭気など複合要求が強く、材料の安定供給と品質保証が課題になりやすい。環境省は自動車向け再生プラスチック市場構築の文脈で、ポスト/プレコンシューマの定義(ISO 14021の定義を引用)を述べています。
再生プラスチックの成形・加工方法
再生プラスチック(再生材)を「量産の成形プロセス」に載せる難しさは、樹脂そのものの物性よりも、原料ロット間変動(MFR/IV・分子量分布・混入物・含水・臭気/揮発分)と、工程内での増幅にあります。
したがって実務では、①原料の受入仕様(許容範囲)を先に決め、②前処理(乾燥・溶融ろ過・脱気/脱揮・必要なら固相重合)を組み込み、③成形条件(温度・圧力・時間・滞留)を「熱劣化を起こさない範囲」で再最適化し、④品質管理(試験・異物・臭気・トレーサビリティ)を工程能力として設計する、という順序が成功確率を上げます。
主要成形・加工法の工程
| 成形・加工法 | 代表用途・形状 | 適合樹脂(中心) | 再生材での主要リスク |
| 射出成形 | 成形品全般(部品、容器、筐体) | PP/PE/PS/PVC、PET(主にプリフォーム) | MFR変動→充填不安定、銀条/ボイド、黒点、溶着弱化 |
| 押出成形(プロファイル/シート/パイプ) | シート、パイプ、異形押出 | PE/PP/PS/PVC、PET(シート) | 異物→ダイ筋・ゲル、吐出変動、臭気/揮発分→気泡 |
| ブロー成形(押出ブロー) | 中空容器(ボトル等) | HDPE/PP/PVC/PS(用途依存) | 再生材の溶融強度低下→パリソンダレ、臭気、黒点 |
| 射出延伸ブロー(PET等) | PETボトル等 | PET中心(PP等の事例も) | IV低下→ボトル成形困難、AA/臭気、黄変 |
| ブロー・フィルム(押出インフレーション) | フィルム(袋等) | LDPE/LLDPE/HDPE、PP | ゲル・魚眼、厚みムラ、臭気、メルトフラクチャ |
| 熱成形(真空/圧空) | トレー等 | PET/PS/PP(シート) | 白化・割れ、異物によるピンホール、臭気 |
| 圧縮成形 | 厚肉品、複合材(用途依存) | PP等(熱可塑)/熱硬化系も | 異物・水分→層間不良、寸法ばらつき |
| 回転成形 | 大型中空(タンク等) | 主にPE | 長滞留×再生材→酸化劣化、臭気、脆化 |
