ニッシリはシリコーン一筋「70年」
シリコーンゴムと樹脂の試作~中量生産をサポートします。

真空注型

真空注型(しんくうちゅうけい)とは、金属製の金型を作らずにシリコーンゴム製の型(シリコーン型)を用い、真空下で液状の樹脂を流し込んで成形する工法です。

原型となるマスターモデル(試作品や造形物)をシリコーンで包んで型を作り、その中に樹脂を注入・硬化させることでマスターモデルと同形状の複製品を製造します。

特徴

少量生産に向いており短納期

金型を製作しないため初期コストとリードタイムを大幅に削減でき、5~20個程度の小ロット生産に最適な工法です。シリコーン型自体も短期間で作成可能なため、設計から製品完成までのサイクルを速めることができます。

型費用が安価

シリコーン製の型はアルミや鋼鉄の金型に比べ材料費・加工費が安く、安価に製作できます。金型では数百万円以上かかるようなケースでも、真空注型用のシリコーン型なら数万円~数十万円程度で作れる場合があります。

複雑形状への対応

シリコーン型は柔軟性があるため、通常の剛硬な金型では成形が難しいアンダーカット形状も多少であれば型から引き抜いて成形できます(無理抜き)。

製作実績

真空注型

材料はウレタンやエポキシなど、熱硬化性の液状樹脂やシリコーンゴムが使用できます。(シリコーンゴムの場合は型の材質がアクリルになります。)

難燃(V0)対応品や食品衛生法に適合している材料もありますので、用途によって使い分けが可能です。着色や塗装・シボ風加工も可能で、モックアップなどの展示品にも適しています。

シリコーンは流動性に優れているため、木や石の表面はもちろん指紋のような細かい模様も精密に転写できます。また、ゴムなので弾力性に富んでおり、逆テーパーやアンダーカット形状があったとしても製品の脱型が可能です。金型では再現できない形状でもシリコーン型であれば製作できる事もあります。

ご活用いただいているケース

試作向け

金型を起こさずシリコーン型を用いるため、初期コストやリードタイムが射出成形より大幅に低減されます。設計検証や外観評価、組立確認などで「10~20個ほどのパーツ」が必要な場合に最適です。

中量生産(ブリッジ生産など)

量産金型の完成を待たずに先行して小ロットを出荷したい場合に、真空注型が使われることがあります。シリコーン型を複数作ることで、ある程度の数量(数十~数百個)をカバーできます。

複雑なアンダーカット形状への対応

シリコーン型は弾性があるため、多少のアンダーカットがあっても型を柔軟に変形させて製品を取り出しやすいです。これは剛硬な金型(射出成形)にはない利点です。

主な用途

設計検証用の試作品

製品設計段階で形状や組み付けを確認するためのモデルや、機能チェック・強度テスト用の試作部品の製造に用いられます​。射出成形用の最終材料ではないものの、ABS様やPC様樹脂で成形された真空注型品は実物に近い強度・精度を持つため、組立検証や動作確認に十分使用できます。

デザイン確認・プレゼンテーション用モデル

表面仕上げや塗装次第では、市販製品さながらの外観を持つモデルを作れます。少量の試作品を真空注型で作り、社内レビューやクライアントへのプレゼン、展示会出展用のモデルとして活用する企業も多くあります。

営業用サンプル

製品発売前に市場の反応を見るための試験販売品や、営業用のデモ製品を小ロットで製造する際にも用いられます​。シリコーン型1つで最大20個前後まで成形できるため、ごく少量の製品であれば真空注型で実際にユーザーに提供できるクオリティのものを作ることも可能です。

他の加工方法との比較と使い分け

「3Dプリント」との比較

3Dプリントは1個から即日造形できるため、デザイン試作や組立確認にに最適です。一方、層間強度が弱く積層痕の後処理も必要で、数量が増えても単価が下がりにくい点が弱点です。

真空注型はシリコーン型に初期費用が若干かかりますが、同一形状を10〜50個製作する場合は1個あたりのコストメリットが出やすく、機能試作を作ることができます。

「切削加工」との比較

切削加工は量産樹脂をそのまま削り出すため、高精度と優れた機械強度が得られます。初期費用は不要ですが、材料歩留まりの関係で、形状が複雑になるほど1個当たりのコストが上がります。また同じ部品を10個、20個と増やしても価格低減効果は限定的です。

一方、真空注型はシリコーン型費が初期費用としてかかりますが、型さえ作れば1日で数十個複製でき、1個あたりの単価が下がります。

豆知識

マスターモデル(原型)

シリコーン型を作るための元となる模型や部品のことです。最終製品と同じ形状・寸法で作られ、真空注型ではこれを基にシリコーン型へ形状が転写されます。3DプリンタやNC切削機で作られることが多いです。

シリコーン型(シリコーンモールド)

固形シリコーンゴムを所定の大きさ・形状に切り分けたもの。圧縮成形ではこれを金型のキャビティに置いて成形を行います。

真空注型機・真空チャンバー

真空注型に用いる減圧装置およびチャンバー(槽)のことです。シリコーン型と樹脂を中に入れて蓋を密閉し、内部を真空ポンプで減圧します。これにより型内部の空気を抜いて樹脂の充填を助け、同時に樹脂やシリコーンの中に混入した気泡を膨張・排出させて除去します(脱泡)​。

アンダーカットと無理抜き

アンダーカットとは、型を開く方向に対して物理的に引っかかりとなる形状のことです。通常の硬い金型ではアンダーカットがあるとそのままでは製品を取り出せず、スライド金型など可動機構を入れて対応します。

脱泡(だっぽう)

シリコーンや樹脂を真空状態に置いて中に含まれる空気泡を抜く工程を指します。二液混合したシリコーンやウレタン樹脂には微細な気泡が混じりやすく、そのまま硬化させると型や製品内部の空洞・欠陥の原因となります。

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