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  • 2021年7月16日
  • 更新日:2025年6月29日
  • マイクロ波成形解説 前編

こんにちは!

今回はマイクロ波成形のご紹介です。2回に渡りご紹介していきます。

マイクロ波成形とは?

マイクロ波成形とは、シリコーンゴム型を用いて熱可塑性樹脂の部品を製作する加工方法です。

シリコーンゴム型を用いた従来の加工方法では真空注型がありますが、これにはウレタン・エポキシ等の熱硬化性樹脂しか使用できず、実際のプラスチック製品で用いられるABS・ポリカーボネート・ポリアセタール等の熱可塑性樹脂が使用できないという問題がありました。

ウレタン・エポキシ等を用いた試作でも形状や機構の確認は出来ますが、実際の製品とは材料が異なるため、強度・耐久などの試験が出来ません。

何か他の方法で熱可塑性樹脂による試作モデルを製作する必要があります。これまで、熱可塑性樹脂を用いた成形試作は高価な金型を用いるしか方法が無かったのですが、マイクロ波成形の登場により、実際の製品により近い試作モデルを安価に製作することが可能になりました。

マイクロ波成形の原理

まず、シリコーンゴム型に樹脂ペレット(マイクロペレット)を充填してマイクロ波を照射します。すると、型の中でマイクロペレットがドロドロに溶けるので、それをそのまま冷却して固めることで目的の部品を作ることが出来るのです。イメージとしては家庭で用いる電子レンジが近いかもしれません。

しかし、皆さんも経験があるかとは思いますが、一般的に電子レンジでプラスチック製の容器を温めたとしてもドロドロに溶ける事はありません。マイクロ波成形ではより出力の高い専用の機械を用いることで樹脂の溶融を実現しています。

マイクロ波成形機

(マイクロ波成形機)

また、シリコーン型とペレットにも工夫があります。

シリコーン型にはマイクロ波を吸収して高温を発するフェライト粉を添加しています。弊社ではシリコーン専門商社の強みを生かしてその他にも様々な工夫を施した独自のシリコーン型を開発し使用しています。

ペレットは通常のペレットを細かく砕いたマイクロペレットを使用します。通常のペレットの大きさはおよそ3~5mmですがマイクロペレットは1mm未満です。ペレットを小さくすることによりシリコーン型で発生した熱を効率よく伝達しています。

また、通常のペレットでは薄いリブや細いボスの部分まで樹脂が入らずにショートが発生してしまいますが、マイクロペレット化によりこの問題も解決が出来ます。
マイクロペレット

(左が通常のペレット、右の二つがマイクロペレット)

マイクロ波成形の詳しい工程については、以下の動画を是非ご覧ください。

マイクロ波成形の特徴・メリット

シリコーン型で量産用の材料が成形出来る

従来、量産用の熱可塑性樹脂での試作は基本的に金型成形でしか出来ませんでしたが、コストや納期が掛かるという問題がありました。
マイクロ波成形では型代が安価な上、マスター支給後最短5日間で製品を作成することが出来ます。
マイクロ波成形の型

(シリコーン型)

マスターがあれば図面・データが無くても加工出来る

真空注型と同様にマスターの複製品を作成する加工方法なので、マスターさえあれば図面・データ等の資料が無くても部品製作が可能です。
例えば、生産が終了している製品のパーツなども同じ材料で複製品を作ることが出来ます。

小ロット量産のイニシャルコストを抑えられる

あまり数の多い量産には不向きですが、少量の量産であればマイクロ波成形でも十分対応可能です。
金型に比べ安価なのでイニシャルコストを抑えた小ロット量産が可能です。
また、金型を作成しないので固定資産管理の問題も発生しません。

型の転写力が高く、微細な形状も再現できる

転写力の高いシリコーン型を使用しているので、原型に忠実に形状を再現できます。
部品表面のシボ・ヘアラインや、貝殻等の自然物の表面も転写可能です。
マイクロ波成形の成形品(巻き貝)

(左がマスター、右2点が成形品。表面の凹凸が再現されている。)

マイクロ波成形について何か分からない事がありましたらお気軽にご相談ください。

マイクロ波成形解説 後編はこちら


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